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年に一度の調律

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調律している間は音をたてないように読みかけの曽野綾子の「朝はアフリカの歓び」を読んでいました。

 私がアフリカのほんとうの魅力を知ったのもチャドだ。昼間のアフリカは多くの場合辛い土地だ。暑さ、埃、断水、生活上の不便。そこで接する土地の人たちは、約束を守らず、ずぼらで怠け者で、狡いこともある。ヨーロッパやアジアからアフリカに来た人は、そうした現実に腹を立て、「明日になったら俺は今度こそ帰るぞ。明日こそ帰国のための飛行機の切符を買うぞ」と決心する。
 しかし翌朝、その男がまだ払暁の頃に目覚めると、そこには世にも爽やかな瑞々しい朝の気配が訪れているのである。空気は徹底して澄み、朝焼けが近くの林を染める。前日のあの暑さはどうしたのだろうと思うほど風は冷え冷えと涼しく、地球始まって以来、人間の肺になど一度も入ったことがないような清純な空気が流れている。やがて鳥たちが一斉に林で鳴き始め、飛び立つ。アフリカの日の出前から午前七時、八時までの時間は、この世のどこにもない天国のひとときだ。それで前日、席を蹴ってアフリカから帰ってやると決意した男は、帰国のための切符を買うのを忘れる。こうして彼はずっとアフリカの虜になってこの地を去ることができないのだ。


by machi3mm | 2017-04-27 09:55 | 日々のこと
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